30歳のわたし 授業実践
私は情報の授業で「30歳のわたし」という演習を行います。
30歳になったつもりで、30歳としての自己紹介をしてもらいます。
聴衆は自分の卒業した学校の高校生です。
(つまり、今のクラスメイトってことですが、そういう設定にします。)
進路に悩む彼らのために、高校卒業から現在までの経験を(したものとして)語ってもらいます。
この演習には3つのねらいがあります。
まず1つ目がプレゼン実習です。
高校生のあなたのプレゼンではダメです、30歳ならこんなプレゼンをするだろう、そんなつもりでプレゼンを作り実施してください。
と伝えます。
そうすると、とても良いプレゼンを作ってくれることがあります。
役割を与えるといいですね。
2つ目に進路教育です。
自分の目指す進路を具体化するための道筋を改めて確認できます。
もちろん自分を鼓舞することにも、またライバルである友だちを鼓舞することもできるでしょう。
また、言霊というと少し禍々しいですが、自分がこうなるのだと思ってプレゼンをして自信をもって話させるというのは、とてもいい結果をもたらすと信じています。
3つ目です。
これが実は情報科としての本当のねらいなのです。
プレゼンを仮でつくった後に、同じ班の生徒に見せて確認をします。
それに1時間を使うわけですが、そのまとめの際に以下の様な事を話します。
あなたの作ったそのプレゼンは、いまから約12年後の30歳のあなたが話す設定です。
その時代にどのようなテクノロジーになっているか想像して入れてくれましたか?
例えば30歳としてのあなたの職業を発表する場合、
今のテクノロジーにおける職業の説明になってしまっていませんか?
それは違いますよね。
12年後は今とは全く違うはずです。
だからそれを反映したプレゼンに手直ししてください。
と話すのです。
多くの生徒は、現時点でのその職業に憧れて、その仕事を目指します。
しかし、それは12年後、さらにその後の時代には異なるものになっていくでしょう。
(ちなみに教員という仕事が12年でどう変わっていったかを、私の体験をもとに話します。)
それを意識することで、今後のテクノロジーの変化、とりわけICT関連の進化に触れることになります。
この考え方を持たせるのが、この実習のねらいです。
そして、生徒は「え~」と言いながら次の時間にプレゼンを直し
全員の前でプレゼンをしてもらう、という流れになります。
みんなすてきなプレゼンをしてくれました。
この実践はお気に入りです。